【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -10-
坂本美咲が四阿の隅に向けてステッキを振り下ろすと、先端からおもちゃの花がポンと生えて開いた。
「あらギャグモードになっちゃった。物陰ってのがないからね。えーと、その花を抜いてみて下さい」
「うん」
坂本美咲が言われた通りおもちゃの花を抜き取ろうと手で茎の部分に触れると。
本物のコスモス1輪。
「え?え?」
「手品ですから。そういうのは女の子やお年寄りでもウケるよ。もう一度……えーとね、あなたのカバンをコツンと突いてみて」
「……もうわけわからない」
坂本美咲は自らのスポーツバッグをステッキ先端で突いた。そして。
「言わなくていい。ありえないもの出てくるんでしょ」
バッグのジッパーを開くと、世界的に有名なモンスター同士を戦わせるゲームに出てくるモンスターのぬいぐるみ。
坂本美咲はあきれたようにため息。
「これ、主人公が相棒に設定したら頭の上に乗るよね」
キツネを思わせる顔立ちだがウサギのような耳。
「頭の上に載せたら何をしたくなりますか?」
「シルクハットを……まさか」
坂本美咲は出て来たモンスターを頭の上に載せると、シルクハットを被って、脱いで。
別のモンスターにチェンジ。間抜けた顔のカバのような。
「もう一度」
今度はアンモナイトのような。以下、シルクハットを扱うたびにモンスターの種類が変わる。
「え、何これおもろ」(面白い、の意)
坂本美咲は自分自身面白がってシルクハットをひょいひょい。
「それ、子供たちに人気のモンスターに変えようとしてクソザコ(※)ばかりなら笑いが取れるでしょ」
何度か載せ替えるうち、イモムシ形状のモンスターになって、先ほどのコスモスをその口に咥えている。(※クソザコ……糞雑魚の意。要するに格好悪くて弱い)
「え?何これ!」
「食べちゃった。どうしたい?」
「え……新しく出したい」
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