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【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -12-

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「綺麗……手触り冷たいから水晶だよね」
 魅入られたようにじっと見つめる。その瞳に透明なきらめきが反射して輝く。
「差し上げましょうか?そのままお守りになってくれるでしょう」
 ルーン文字エルハツの意味するところ、守護者によって守られている。
「いいの?」
 坂本美咲は顔を上げ、レムリアを見た。その瞳がきらめきに変わって瞠目に拡大し黒水晶を宿す。
「ルーンに従え……そういうことでは?」
「でも1個減っちゃうんじゃ……高そうだし」
「そこでケチるようじゃ意味なくない?魔法を信じるってそういうことでは?」
 坂本美咲はしばらくレムリアを見つめ、次いで手のひらの水晶文字を見つめ、そして、ギュッと握った。
「マジックショーの魔女、やってみるよ。デイサービスの催しなんだよね。きちんと練習もしたい」
「そう来なくっちゃ!」
 レムリアは言い、両の手を合わせてパチンと鳴らした。

4

 土曜日。
 試験に向けた自習用に教室が解放されているので3人で待ち合わせる。ろくに口をきいたこともない坂本美咲を呼んだことに対し、平沢は最初怪訝な顔をしたが。
「興味あるんだってさ」
「ふーん、いいよ」
 自身、〝細けぇことは気にしない〟と言うが、本領発揮というところか。
 ただし、後から彼女が来て〝二人の間に入り込めない〟だと困るので、少し先に入ってシナリオの調整。ドスドスという足音。
「ちーっす。お、姫ちゃん早ええ。よっ!」
 ドアががらりと開き、野太い声が“ぶるん”とばかりに室内に響き、体育着ジャージ姿の平沢が入ってくる。
〝よっ!〟は坂本美咲に対して。片手をあげて声かけ。それはレムリアに〝なじみの飲み屋ののれんをくぐるおじさん〟を想起させた。読んでる漫画の1シーンだが。
 坂本美咲を見る。平沢の姿を足下から首の下へ向かって追いかけるように見ている。
 ただ、顔を、目を見ることは出来ていない。
 ひと肌。
「よ、っておっさん臭(くさ)」
 応じて彼の仕草に対して突っ込んでみる。

(つづく)

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