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【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -15-

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「判りました。君たちはいいかな?」
 座った子供達に問いかけ。
「あ、はい」
 先頭に座っていた女の子が答える。急に訊かれてちょっと緊張。
「ありがとう。では始めましょう。今日は当院始まって400年の歴史の中で初めての出来事です。魔女の認定試験」
 副住職は仏像右奥の引き戸へ向かい、開き、退出した。
 仏像左手。
 奥の方より平沢が歩いてくる。中学校の体操ジャージである。
 仏像の前に足を開いて立ち、手を腰に胸を張る。
「諸君、私は魔王だ」
 会場は無言。〝滑った〟というより唐突すぎる。
「あ、観音様ちーっす」
 仏像に向かってヘコヘコ。
「うそつけ平沢!」
 この声は諏訪君。
 子供たちが背後を振り返る。
「誰だお前は!私は平沢ではない。見ろ、それが証拠にここに魔王と書いてある」
 平沢は言って背中を向けた。
〝魔王〟と書いた紙が貼ってある。
「どう見ても魔王だろう」
「どう見てもジャージだが」
「ジャージに見えるなら脱いでやる」
 平沢は言って、観客に背を向けたまま、ジャージの上着を脱ぎ捨てた。
 白い体操シャツに〝魔王〟。
「魔王だろ?」
 ここで子供たちから小さな笑い。
「じゃ、始めるぞ」
 平沢は振り返る。
 体操シャツの胸に〝3-3 平沢〟。
「平沢じゃねぇか」
 諏訪君が突っ込み、ここでようやく本格的な笑いが取れた。
「あのー平沢君、じゃなかった魔王様」
 観客席の後ろからレムリアは声を上げた。

(つづく)

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