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2023年5月

【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -20-

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 お開きになった後、そのまま本堂で演者三人はジャージ姿で、私服の諏訪君と、車座になってお茶菓子をいただいた。
「鮮やかだねぇ。びっくりしたよ。どちらかが本物の魔女なら坊主代表で聞きたいことがたくさんある位だ」
 副住職は瞳を輝かせて笑った。
「僕が本物の魔法使いである可能性は?」
 平沢がボケる。
「ないから」
 諏訪君が即遮断。
「ちぇ。ちなみにこの相原さんの道具です。手品ってタネをごまかすのが難しいのに、誰が使ってもうまくできる。オランダ、だっけ」
「ええ、そうです」
 彼女は答えた。そういうことにしときましょう。
 ウソは付きたくない。
「ちなみに美咲ちゃんはどうでしたか?せっかく”魔女に昇格“したんだし、また一緒にいかが?」
 坂本美咲に水を向ける。
「え?……あ、うん。最初、次どうしようと思ったけど、姫ちゃんの道具に救われた。次、か……」
「魔法の指揮棒の方がいい?」
 手のひらからにゅっと出現させて彼女に渡す。先っぽに星の飾り物。
「おお、それも手品か。すごいな。そういえば帽子や服は?」
「片付けました」
 レムリアは副住職に答えた。
「あんな大きなものを?」
「そこは企業秘密とさせてください」
 話す二人の傍らで坂本美咲は指揮棒をじっと見つめる。先端の星を握り、離し。
 星が透明な石に変わった。
 坂本美咲はハッとした表情でレムリアを見上げた。
 現れたそれはルーンの水晶である。アルファベットのn、あるいはギリシャ文字ηに似た文様。
 その変化に副住職も気づく。
「ほう、星から変わった。すごいね。私がやってもなるのかね」
 坂本美咲はニコニコ顔の副住職に顔を向けた。
 nに似たその文字は“ウルツ(Uruz)”である。意味は複数で挑戦、始まり、審判、等。

(つづく)

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【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -19-

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 レムリアは言って、冒頭脱ぎ捨てたジャージをステッキで指し示した。
 ジャージの中でもこもこと動くものあり。
「あら、僕のリスちゃん」
 平沢魔王はキスでもするかのように唇をとがらせ、内股で駆け寄り、「うふん」と発してジャージを取り上げた。
 リスがピーナッツをカリカリ。
 応じたどよめき。
「お待たせリスちゃん」
 平沢魔王がおちょぼ口でそう言ってまぶたをパチパチさせたら、リスは逃げるように走り出してレムリアのステッキから肩へ駆け上った。
 くすくす笑い。
「ひっどーい」
 魔王はおちょぼ口で不平を言い、再度まぶたパチパチ。
「ウッフンは満腹だから。やい魔王。これでマジックは終わりだ。採点しやがれ」
「やい魔王とは何事だ。待ちたまえ」
 平沢はジャージを着込み、胸を張る。
「サキくん」
「はい」
 サキは魔王の前にかしこまり、持っていたステッキを彼に渡した。
 魔王はステッキを右手に。
「合格だ」
 言って、ステッキで床をドン。
「やった!」
 サキが喜んでジャンプした次の瞬間。
 サキもレムリアもジャージ姿に変わる。
「ちょ!だっさ!魔女だっさ」
「なんで私までジャージにされるんですか魔王」
 会場爆笑。頃合いである。3人は横一列に並んだ。
「以上。見習い魔女のマジック試験、でした」
 お辞儀すると拍手をもらう。リスはレムリアの頭の上に移動し。
 ステッキは平沢の手の中で帽子に変化し、その帽子をレムリアにかぶせると、リスの姿は見えなくなった。

(つづく)

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【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -18-

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「なんだゴミじゃん」
「いらねーよそんなもん」
 が、お年寄りの一人が、舞い降りてきた金色の紙片を手にしたところ。
 ラメ入りでそれこそ男の子たちがリクエストした炎のドラゴンがデザインされたカードに変わる。テーブル対戦ゲーム用カードである。携帯端末で印刷されたバーコードを読ませると画面の中で対戦できる。
「うそマジか!」
「オレも欲しい」
 出来事を掌握した男の子たちが立ち上がり走り出し一気に争奪戦になる。男の子たちの手にした紙くずはそれぞれがそれぞれ欲しいと思っていたモンスターのカードに変わった。
「レベル50とか最強じゃん!」
「やべー。何これマジ鳥肌」
 ただ、そのゲームに興味のない子も存在する。騒ぎの間にレムリアはサキにこっそり耳打ちし、サキは帽子を裏返しにしてそうした子供たちとお年寄りに配って歩いた。
 髪の毛のアクセサリーとか、ミニカーとか、お年寄りにはお菓子の小袋。
「なぁ、これ本当にもらっていいのか?」
 男の子の手が震え、のぞき込む周囲の子供達が目を見開く。威勢良く炎を吐く黒いドラゴン。
 レムリアは大きく頷いた。
「もちろん。あげておいて返せとか手品じゃないでしょう。さて、みんな席に戻ってください。見習いサキの最後の大手品です。この帽子はみんなにいっぱいあげたのでもう空っぽです」
 サキは帽子の中を聴衆に見せた。男の子達は席に戻らず、立ってそのまま帽子を見ている。
「でも……おかしいですね。このモンスターのぬいぐるみ、最初は何でしたっけ」
 女の子の一人が目を見開く。
「リス……あのリス本物だよね!?どこ?」
「ですよね。でも、私には判っています。こいつ……ちゃうちゃう魔王です」
 平沢を指さす。
「そう私がちゃうちゃう魔王です。ってそれじゃイヌじゃん。リスだろ」
「野球部のリスがおるかい」
 このツッコミは諏訪君。
「え?その人リスなの!?」
「そう私はリスだ。かわいいだろ」
 鼻の穴を広げて喉仏をぐびぐび。
「どこがじゃヒラ」
「おっと設定間違えた魔王だった」
「じゃぁジャージ……じゃない、魔王の制服を着て魔王に戻ってください」

(つづく)

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