【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -20-
お開きになった後、そのまま本堂で演者三人はジャージ姿で、私服の諏訪君と、車座になってお茶菓子をいただいた。
「鮮やかだねぇ。びっくりしたよ。どちらかが本物の魔女なら坊主代表で聞きたいことがたくさんある位だ」
副住職は瞳を輝かせて笑った。
「僕が本物の魔法使いである可能性は?」
平沢がボケる。
「ないから」
諏訪君が即遮断。
「ちぇ。ちなみにこの相原さんの道具です。手品ってタネをごまかすのが難しいのに、誰が使ってもうまくできる。オランダ、だっけ」
「ええ、そうです」
彼女は答えた。そういうことにしときましょう。
ウソは付きたくない。
「ちなみに美咲ちゃんはどうでしたか?せっかく”魔女に昇格“したんだし、また一緒にいかが?」
坂本美咲に水を向ける。
「え?……あ、うん。最初、次どうしようと思ったけど、姫ちゃんの道具に救われた。次、か……」
「魔法の指揮棒の方がいい?」
手のひらからにゅっと出現させて彼女に渡す。先っぽに星の飾り物。
「おお、それも手品か。すごいな。そういえば帽子や服は?」
「片付けました」
レムリアは副住職に答えた。
「あんな大きなものを?」
「そこは企業秘密とさせてください」
話す二人の傍らで坂本美咲は指揮棒をじっと見つめる。先端の星を握り、離し。
星が透明な石に変わった。
坂本美咲はハッとした表情でレムリアを見上げた。
現れたそれはルーンの水晶である。アルファベットのn、あるいはギリシャ文字ηに似た文様。
その変化に副住職も気づく。
「ほう、星から変わった。すごいね。私がやってもなるのかね」
坂本美咲はニコニコ顔の副住職に顔を向けた。
nに似たその文字は“ウルツ(Uruz)”である。意味は複数で挑戦、始まり、審判、等。
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