【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -18-
「なんだゴミじゃん」
「いらねーよそんなもん」
が、お年寄りの一人が、舞い降りてきた金色の紙片を手にしたところ。
ラメ入りでそれこそ男の子たちがリクエストした炎のドラゴンがデザインされたカードに変わる。テーブル対戦ゲーム用カードである。携帯端末で印刷されたバーコードを読ませると画面の中で対戦できる。
「うそマジか!」
「オレも欲しい」
出来事を掌握した男の子たちが立ち上がり走り出し一気に争奪戦になる。男の子たちの手にした紙くずはそれぞれがそれぞれ欲しいと思っていたモンスターのカードに変わった。
「レベル50とか最強じゃん!」
「やべー。何これマジ鳥肌」
ただ、そのゲームに興味のない子も存在する。騒ぎの間にレムリアはサキにこっそり耳打ちし、サキは帽子を裏返しにしてそうした子供たちとお年寄りに配って歩いた。
髪の毛のアクセサリーとか、ミニカーとか、お年寄りにはお菓子の小袋。
「なぁ、これ本当にもらっていいのか?」
男の子の手が震え、のぞき込む周囲の子供達が目を見開く。威勢良く炎を吐く黒いドラゴン。
レムリアは大きく頷いた。
「もちろん。あげておいて返せとか手品じゃないでしょう。さて、みんな席に戻ってください。見習いサキの最後の大手品です。この帽子はみんなにいっぱいあげたのでもう空っぽです」
サキは帽子の中を聴衆に見せた。男の子達は席に戻らず、立ってそのまま帽子を見ている。
「でも……おかしいですね。このモンスターのぬいぐるみ、最初は何でしたっけ」
女の子の一人が目を見開く。
「リス……あのリス本物だよね!?どこ?」
「ですよね。でも、私には判っています。こいつ……ちゃうちゃう魔王です」
平沢を指さす。
「そう私がちゃうちゃう魔王です。ってそれじゃイヌじゃん。リスだろ」
「野球部のリスがおるかい」
このツッコミは諏訪君。
「え?その人リスなの!?」
「そう私はリスだ。かわいいだろ」
鼻の穴を広げて喉仏をぐびぐび。
「どこがじゃヒラ」
「おっと設定間違えた魔王だった」
「じゃぁジャージ……じゃない、魔王の制服を着て魔王に戻ってください」
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