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【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -21-

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 坂本美咲は指揮棒をギュッと握った。
「あ、いや、イヤならいいんだが?」
「いえ、違います。この水晶には古代文字が浮かぶんです。その意味を考えてました」
 坂本美咲は字面を副住職に見せた。
「ルーン文字かね」
 副住職の知見に女の子2人は少なからず驚いた。ルーンを魔法、占いのアイテムと置いた場合、仏教と最も遠い位置にある存在だろう。
「ルーン?ゲームに出てくる?」
 これは諏訪君。北欧神話の神々やルーン文字はそういう系のゲームで多出。
 キョトンとしている平沢。
「バイキング時代の古代文字だよ。キリスト教がふつーのアルファベット持ってきて廃れた。文字個々に意味が持たせてあるので、占いや魔法のキーワード、発動アイテムに多く使われる」
 レムリアは軽く説明した。
 すると坂本美咲の手が動いた。
 ポケットの中から取り出すエルハツ。
「同じものだね」
 副住職は言った。
 坂本美咲は、指揮棒を副住職に差し出した。
「た、試してみてください」
 ちょっと震える声。
「そうかね。では」
 副住職は、握って、離した。
 Fに似た、それ。
「アンスルじゃん!すげぇ。オーディンの象徴だぜ」
 興奮気味の諏訪君。なお、意味は高い知性など。スペルANSUR。
「北欧神話のオーディンかね?いやぁこれは忖度だなぁ」
 副住職は後頭部をポリポリ掻いた。
 そこで坂本美咲が気づいたように彼に……平沢に目を向ける。
「やってみて」
 レムリアは気づいた。彼女はルーンに尋ねている。
 啓示のように浮かんだ想いは“自分は口出ししてはならない”。
 坂本美咲の目は射るように真剣である。瞳自体が光を発しているかのよう。
 だが、彼は気付かない。

(つづく)

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