【魔法少女レムリアシリーズ】アルカナの娘 -04-
「確かに当たるんだけどなんかスッキリしない違和感それだ」
姫に姫ちゃん……呼ばれる彼女姫子は腕組みした。否定ばかり当たるというのは思い当たる節がある。なお彼女の本名は姫子ではないが、便宜上しばらく姫子と表記する。
「ものごと成就させるには努力し続ける必要があるのですよ。放っておいてくっつく恋愛や勉強せずに点を取れるテストはありません」
「そりゃそうだ」
「そこでダメと言われると?ダメなのにそれ以上努力しようとする?」
「あきらめる……あっ!」
「あっ」
「何もしなきゃダメで当然。占いでも何でもないじゃん」
その場の誰もが怒りを芽生えさせるのを姫子は感じた。調子に乗ってやがったんかタダじゃ置かねえ。
「クソがよ……」
「まぁまぁ。だからこそ会う意味と理由があるのですよ。盛り塩ナメクジになっちゃったのは、あの 娘 自身がそこを見透かされたと気付いたせい。任せてもらっていい?」
一部男子たちの眉毛がへの字。
「金取るとか言う話もあんだぜ?怖いのが後ろにいるんじゃねえの?」
「助けなくてもいいのに……」
「むしろ新たな被害者を出さないためだよ」
任意のタイミングで……姫子は神領美姫にそう伝えたが、まぁ大体の予想は付いていた。学校近いスーパーマーケットの2階にある学習塾に通っているが、そこで木曜夜の一枠前の時間に神領美姫が通っていると知っているからだ(前述のご注進からそう判じた)。姫子自身は神領美姫を意識したことはないが、まぁ、向こうは気にしているので知っているのであろう。
果たして夜9時半。塾を出て建物の外階段をカンコンと降りて行くと、赤いワンピース姿の神領美姫が階段下からこちらを見上げる。
「90分待ったと思うけど」
声を掛けると意外や、小さな微笑み。それは昼間のお高くとまった美魔女と異なり、あどけない子猫のよう。
「自主学習スペースにいたから」
神領美姫は素直に応じた。なお、自主学習スペースというのは、習ったことの復習や、家庭の事情で集中できる時間と場所がない生徒のために、塾が解放しているフリー空間のこと。
「そう」
姫子は微笑みで返し、階段途中で一旦止まって360度周囲を見渡し、再度歩き出し、神領美姫に近づき、耳打ち。
「ズバリ言いますが、私たちが何するんだと聞き耳立ててる者がいます。いきなりでアレだけど私のウチへ来ませんか?」
「え?」
家に来い。意表を突いたことは火を見るより明らかだった。
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