【魔法少女レムリアシリーズ】アルカナの娘 -08-
「相原さんは、私に昔、霊能があったと言ったら、笑う?」
カップの王というのは、小アルカナに属し、人間関係を大切にする……などの示唆を与える。
応じた重い告白が始まると彼女は理解した。まっすぐに神領美姫の目を見る。
「いいえ。科学を超えた力やエネルギは、科学で検出することは出来ません。だから、科学で理解できないからと言って、ないと言い切ることはできないと思います。そしてあなたは今、多分、誰にも話したことのない、重大な秘密を告白してくれようとしています。それを私は笑ったりしません」
「わたし……」
物心ついた頃には、誰が何を考えているか、自分に対してどんな感情を抱いているか、“顔を見れば判る”状態だったという。
つまりテレパシー。それは持てるならば羨ましい能力とされるが。
「みんなが、私を、気持ち悪いって、避けてるのが判った。嫌いなのに先生に命令されて無理矢理仲のいい素振りをしているのが判った。気持ちが針みたいに、棘みたいに、どんどん、どんどん、刺さってきて、幼稚園に行けなくなった」
「判るのは、いいことばかりじゃない。むしろ、知らなければ幸せだったことも判ってしまって、辛いばっかり」
神領美姫は頷いた。
「しかも、誰も理解してくれない……違う?」
首肯再度。そして。
「だから、自分で何とかしなきゃって思って。そんな時、占いってのを知った。これなら、逆にみんな判っちゃうことが活かせるなって」
小学校に上がって程なく、占いの当たる子と評判になったという。ちなみに彼女姫子は幼少期日本におらず、幼稚園から小学校に上がることで何が変わるかピンと来なかったが、多く幼稚園は私学であり、同じ幼稚園だから同じ小学校へ行くと限らず、逆に違う幼稚園の子も来て、要するに“シャッフル”されるのだと理解した。ならば、“変な子”の先入観を持たれる確率も下がる。
「それで、感じた結果と辻褄の合うカードを示すようにして、占いの結果ということにした、と」
「うん、でも、小学校高学年になって、どうしようもないことが起きた。仲の良かった友達が、男の子を好きになって、成就するかと。でも、相手の男の子にその気はなかった」
「イエスともノーとも答えられなかった」
「ううん、嘘をついた」
姫子は思わず目を見開いた。つぶやきに混じる重い後悔。
神領美姫は机上に並んだ彼女のタロットを手に取り、大アルカナの〝力〟を示した。獅子を手懐ける女性が描かれており、忍耐強く取り組め、みたいな解釈を取る。
(Wiki)
「正位置で提示したわけだ」
「うん、で、彼女は速攻コクって、当然ダメで、私を嘘つきとひどく罵った。その瞬間、私は、何か“がしゃん”って壊れた気がして、もう、何も判らなくなった」
「エスパー突然消えちゃった」
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