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【理絵子の夜話】空き教室の理由 -014-

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「すいません勝手に使って」
「いいえ」
 担任は小さく頭を下げ、カップを受け取り、少し口へ。
「ああ、落ち着く。誰かにコーヒー淹れてもらうなんて久しぶり」
 担任は僅かに笑んだ。
 そして、その目を、すっかり夜の表情を見せる窓の外へ。
「あなた達が入学してくるずっと前の話……」
 担任は、重い口を開いた。
 昭和の時代の終わり頃、全国の中学校に校内暴力の嵐が吹き荒れた。
“不良生徒”と呼ばれ、授業を妨害し、薬物や喫煙を常習し、窃盗、破壊を尽くす。注意する者には暴力を容赦しない。暴走族(現在の珍走団)への参加、からんで人を死に至らしめる事件も少なからずあった。
「名前は、あゆみ、とだけ言っておくわ。目のくりっとしたかわいい女の子でね。勉強も良くできた。学級委員やってた。あなたみたいに」
 そのあゆみ、が、こともあろうに、学校の不良グループのトップと交際していた。
 進学を控え、そのままでは志望先に情報として届きかねない……教員達がやきもきしていた矢先、あゆみが真っ青な顔で相談に来た。
 そのトップが暴走族同士の抗争で刃物を用い、若者を一人半身不随にしてしまった。
「どうしようってね。放っておけば警察沙汰になる。それだけは避けたいと。彼は自分にだけは告白してくれたと」
 あゆみ、は、彼の告白したその意図を、穏便に済ませる方法の相談と受け取り、担任に持ちかけたのである。
 しかし、担任は二人を引き裂くチャンスと警察に告発した。それこそこれ幸いとばかり。
 その結果。
「私は彼女を裏切ったことになるのね。そこまで想っているとも知らずに……」
 自分に意見を求めている?理絵子は少し考えた。恋愛経験(想う方)の経験は無いので、的確な回答になるか判らないが。
「“恋”をするようになった時点でメンタリティは立派な“女”ですから。経験や駆け引きとか後から付いてくるでしょうけど、そういうオプション全て取り去ったピュアな部分は年齢には無関係です。たとえ見かけが子どもに見えても」

(つづく)

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