« 【魔法少女レムリアシリーズ】アルカナの娘 -12- | トップページ | 【理絵子の夜話】空き教室の理由 -022- »

2024年9月21日 (土)

【理絵子の夜話】空き教室の理由 -021-

←前へ次へ→

 ため息をつくなという方が無理であろう。よく観察されてるなというのが理絵子の印象。“美少女”としか書いてこない男子の手紙と違って繊細で心を打つ。変な話だが、“女の子同士”の世界が判らぬでない気もしなくもない変な感じになってくる。お互いに観察し合って相互理解に至っているのではないかと思うのだ。判ってもらえる心地よさ、う~んなるほどなぁである。ただ単に好意を伝えられるだけ、とはグレードが違うと認めざるを得ない。なおちなみに理絵子はマンガであれノベルズであれ、それをテーマに置いた作品は持たない。
「はぁ」
 短くため息付いて手紙を封筒に戻す。内容からして返事を書いて心理的にフォローした方がいいように思うが、差出人が名乗らない以上書きようがない。調べれば判るのだろうが、それは超自然にして不自然という奴だ。
 階下から階段の壁をノックする音。
「理絵子。出たよ」
 母親である。曰く次はあなたが入浴しなさい。
「はーい」
 理絵子は残りの紅茶をあおって席を立った。

 深夜2時に心霊写真を眺めている少女が一名。
 照明は机上のスタンドだけで、室内灯は用いない。暗闇に顔だけ白く浮かび上がらせ、首無し写真を見つめる様は、恐怖マンガの冒頭シーンさながらである。
 しかも実際、背後に“見えない連中”が集まっていることを理絵子は感じている。能力上この種の写真に対して、恐怖に直結しない彼女であるが、そういう写真であるという意識を持ったことで、連中が集まっているのである。
 彼女はこの種の物体を調べる際には、この時間帯を多く用いる。

(つづく)

|

« 【魔法少女レムリアシリーズ】アルカナの娘 -12- | トップページ | 【理絵子の夜話】空き教室の理由 -022- »

小説」カテゴリの記事

理絵子のスケッチ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 【魔法少女レムリアシリーズ】アルカナの娘 -12- | トップページ | 【理絵子の夜話】空き教室の理由 -022- »