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【理絵子の夜話】空き教室の理由 -025-

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 曰く昼間言い忘れ。千葉の祖父母宅から地元肉牛“若潮牛”の肉が届いた。明日喫茶店“ロッキー”でバーベキューパーティやるので来ないか。
『“たこぶえ”のヴァカばっかだけどよ。お前のクウールでクレヴァーな物言いを聞かせてやってくれよ(^^)v』
……珍走団と中学生の女の子が昼間っから肉食ってる図は父親が眉を顰めそうであるが。
 ひとつ目的が生じたことに理絵子は気付く。喫茶店主含め、メンバーはみんな同じ中学出身。
『行くよ~。お昼でいいよね~。変更あったらメールちょ~』

 喫茶店“ロッキー”は、中学校から南側へ向かう道、斜面を降りて行く途中にある。白壁のログハウス風の建物であり、15人も入れば満員。規模の大きな店ではない。
 近隣の住民はあまり使わず、主たる客層は近場にある女子大学の学生達。だから土曜午後と日曜休日は休み。
 理絵子ら中学生には出入り禁止のお達しが出ている。理由は“ふさわしくないから”とだけしてあるが、要するにPTAが眉をひそめる若者達が時々集まるからであろう。
 今日も、店前の道には明らかに違法改造と思われるバイクが数台。及び、後部の空圧パーツ“スポイラー”を極端に伸ばした古い国産乗用車。……その車体タイヤ回りは、少しの段差すら引っかかる、と思うほど低い。いわゆる車高短(シャコタン)である。
 理絵子はそれらの間をくぐり抜け、“close”としてある喫茶店の入り口ドアを開ける。
 ドアベルがカラン。
 店内に客の姿はない。厨房奥のドアが開け放してあり、外光が入ってくる。鉄板焼きのジュージュー威勢のいい音と匂い。そして談笑。
「違法駐車はいけませんよ」
 理絵子は言いながら、厨房から庭へ出た。
「お、りえちゃん」
「あー今日もかーいい(可愛いの意)なぁ」

(つづく)

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