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【魔法少女レムリアシリーズ】14歳の密かな欲望 -20・終-

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「大丈夫。もし気付いた時、私が抱えていることに意味があるから。彼女のカバンを探してあげて。ムク」
 ムクがわんと答え、姫子はリードを大桑に渡した。
「大桑さん彼に付いてって。平沢君」
「おうよ」
「頼みがある。骨折野郎に添え木を。その辺の枝切れをその辺の蔓草で結びつければいいから」
「ほ、骨は……」
「放置でいいよ。ブラブラ動いてちぎれないようにするのが目的だし」
 平沢は目を剥いた。足がちぎれる……ちょっとどぎついか。
「わ、判った」
「ありがとう頼むね」
 ちぎれるってなんだよぉ……知るかバカ。
 そこで取り巻きの一人はギャッと叫び、動かなくなった。どうやらカマドウマが顔までピョンと飛んできて失神したようだ。
「奴は……どうしよう……わーカマドウマだっけ。いっぱいだー」
 と、棒読み調は宮越。
「あたし虫怖いキャーってだけだから、殴るか足踏むかキンタマ蹴り上げれば起きるよ。あと誰か救急車を。以上、みんな頼んでいいかい?」
 おう!という男の子達の声が返る。強い返事に後は任せることとし、カバンを見つけてきてくれた大桑に藪をラッセルしてもらって散歩道まで戻る。
 そこに、心配顔の溝口の母が相原香と、担任奈良井と共にあった。遠巻きに近所の方々も。
「大丈夫ですから」
 アルミポンチョのフードを開いて顔を見せる。すると溝口の母親は涙を流しながらへたりこんでしまった。
「姫子さん……ああ、傷だらけで……汚れてしまって……もう、なんとお詫びして良いやら」
 ブレザー着用のちえちゃんに比して既に夏服半袖ブラウスであるから、藪を切り裂け走れば応じて葉で肌を切ろう。泥濘を歩いて土埃をかぶれば応じて髪も制服も汚れよう。
 髪は泥はねまみれで薄茶色、顔から腕から傷だらけ。ただ、澄んだ瞳で友を抱えて、姫子は笑った。
 久々に全身汚れた気がする。ただそれは、これまでいくらでも、何度でも、あったこと。破傷風や緑膿菌の心配がないだけ〝クリーン〟だ。ちえちゃんが無傷ならどうでもいい。
「友達ですから。今朝、迎えに来たと称した者たちに見覚えはありますか?」
「それが……智恵美が飛び出して行ったからてっきりあなただと……」
「録音した私の声を編集して呼び出し、睡眠薬入りの健康飲料を飲ませたようです。正直、犯罪です」
 ボイスレコーダを渡すと、救急車のサイレン。かなり早いが、ご近所さんが呼んでくれたか。
 自分達から見て正面より入って来たので手を振って呼ぶ。トリアゾラムなら短時間で効き目を失うはずだが、ここまでの音と振動で起きない辺り、効き目を上げるためオーバードーズされたと見られ、副作用が怖い。
 骨折?私の意思が及ぶ範囲にいると〝妨害〟されるから少し待つんだね。
 
 14歳の密かな欲望/終

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