【魔法少女レムリアシリーズ】14歳の密かな欲望 -18-
上下に走った亀裂が左右に開き、地震動の揺れに合わせてパカパカと開いたり閉じたりし、洞窟天井から土砂や小石が落ち始める。
円形の入り口が質量に耐えかねたようにぐにゃり。
潰れる。
「あっ」
降り注ぐ土砂に気づき、目を上に向けた色狂い男子どもの間に、彼女はラグビー選手のように突進し、虚を突かれた彼らを左右に突き飛ばしながら、文字通りゴールラインにトライの動作に似て洞窟へ飛び込んだ。
ドーンと重たい音がして土埃が舞う。自分の身体の至近に重い何かが落ち、転がった。までは、感覚で察知できた。落石であろう。ただ、自分や、自分が覆い被さったちえちゃんの身を傷つけてはいない。
ドサドサと音を立ててかなりの土砂が崩れ、身の回りが小刻みな震えを繰り返し、礫や小石が頭にガチゴチ当たる。目を閉じて息を止め、胸元でちえちゃんの顔を覆い、地鳴りと地震動を身体に感じながらそれらをやり過ごす。30秒くらいならどうにかなる。
激しく咳き込む声と、ムクの吠え声に気付き、視界に明るさを感じて身体を起こすと、洞窟は崩壊し天井は消え失せ、文字通り白日の下に晒されている。住居の暗がりを失ったカマドウマがあちこちぴょんぴょんと跳ね回り、暗い色の制服ブレザー……すなわち腰を抜かして転がっている色狂い男子らに群がっている。
「うげぇ虫虫虫!」
「便所コオロギ死ぬほどいる!」
オンナ相手にイキがっていた青い少年達が、ナッツの実ほどの虫に集られて尻餅をついている滑稽よ。
「キショ……あれやべぇ足……足……あ、あ」
「キモい……キモい……」
「クソがぁ!」
闇雲、とばかり、取り巻きのひとりが拳突き上げ立ち上がろうとする。そこへ、幾つもの人の影が逆光に照らされて伸びて来る。
「やべぇ」
拳突き上げた奴は走り出した。逃亡である。泥濘の中をこけつまろびつ、姫子が来たのとは反対側、生い茂る草の向こうへ。目で追うとそこにも見張り役であろうか、誰かいる気配はあるが。
「おい待て!裏切るのかてめぇ!」
術を行使すれば阻止できようが優先すべきはちえちゃんであってどうでもいい。
どうせどうにかなる。自分の魔法そういうもんだ。
「みんな!ここ!」
彼女は手を伸ばして左右に振る。斜面の上、逆光で顔は見えないが自分のクラスの男の子達。
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