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2025年8月27日 (水)

【魔法少女レムリアシリーズ】虫愛づる姫と姫君 -04-

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“生徒相談室”は職員室と教頭室の間にあり、廊下を通らず職員室から直接出入りできる。職員室を端まで進んで引き戸の鍵を開ける。
「学年跨いで知られてんだな君は」
「トラブルメーカーですので」
 森本が鍵をガチャガチャする間そんなやりとり……鍵は回ったがドアが開かない。
「あれ?あまり使わないからなぁ」
 姫子は森本の傍から手を出して鍵穴を指でなぞった。
「はっはっは。なんだそれは。おまじないかね?……開いた!」
 何の抵抗もなくカラカラ開いた引き戸に森本は目を白黒。実際のところ“おまじない”そのものなのだが、こちとら時間を割いてここに来ているわけで単なる時短。
「まぁ、いいや。入って」
 中は表皮が劣化してひび割れだらけの皮製ソファとテーブルの応接セット。前回使った時もホコリをかぶっていたが、今日も然り。誰も掃除しないのか。森本が明かりを付ける間に後ろ手で引き戸を閉める。
「座ってくれ」
 促され、ハンカチを取り出して座面を拭って腰を下ろす。
 他方森本は構わずドスン。恰幅に見合った圧力で埃がもうもうと舞い上がる。
「けほ……」
「おお、すまんすまん。いやあ突然呼び立ててすまんね」
「みんなからは、呼び出し居残りシゴキ特訓ではないかと心配されています」
「はっはっは。そんなことはない……ただ、正直もっと面倒かもしれん」
「え?」
 森本は急に表情を曇らせた。それは姫子にとって意外な反応で、コトの深刻さと、“本当に困っているのだ”という認識を強くさせた。
 森本はタブレット型の端末を取り出すと、液晶画面に少女の画像を映し出した。
「ウチの生徒で森宮もりみやのばら、というんだが、知らんよなぁ」
「ええ、はい」
 写真はどうやら生徒手帳に貼り付けるために提出されたものを、端末に取り込んだようだ。“写真の写真”は概してノイズが増えて不鮮明だが、それでも表情や肌の色、髪の毛の様子から、のばら、なる娘の概況がうっすら判る。まず、つまらなそうな表情は“学校”に対する悲観的な意識を匂わせ、髪の毛は三つ編みお下げの“ツインテール”だが、所々枝毛が見え、手入れが不足し、恐らく“自分で”編んでいる。それは大事な身分証明の写真なのに、親の世話を受けている気配が無い。顔色はミドルティーンの娘にしては艶や張りが感じられず沈んだ色合い。それは色黒という書き方あろうが、太陽ガン浴びで色黒の自分と違う、栄養不良の気配。
「あの、いいか?」
 森本はじっと写真を見ている姫子に怪訝な顔をした。

(つづく)

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