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2025年9月14日 (日)

アルゴ・ムーンライト・プロジェクト -044-

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『状況』
 を教えろ。アルフォンススから。
「氷河先端で氷塊切断に着手」
『了解。救助手配中と車載音響を通じてしきりに呼びかけている。手持ちだが心拍センサの反応は4』
 甲板上を映すマストカメラ、及び船底カメラの画像を見る。甲板から緑の光条が真下に走り、船が微速で動き、光条が湯気立てながら氷河の中へ切り込んで行く。
 続いてレムリアが当初口にしたプラズマに〝R〟の表示。ラングレヌスか。
 〝コ〟の字の切れ込みを入れたところでラングレヌスが氷河の上に飛び降り、出来た切れ目・隙間にプラズマの銃口を突っ込んで発砲。
「中で小爆発するから押し開く圧力になる」
 シュレーターがその意図を説明してくれ、レムリアは納得した。
 〝コ〟の字に切断完了。巨大な〝氷のスティック〟が氷河の端面からぐらり。その上に乗っている大男2人。
『ドクター。船体を立てて甲板で受け止めろ』
 2人のどちらか。
「アイ。総員衝撃が予想される。身体を固定せよ」
「間もなく完了します。数分で滝まで戻れるかと」
 作業を見ながらレムリアは言った。座席ベルトで身体を拘束。レース車両でよく見られる四点式だ。
『了解』
 アルフォンススが反応して程なく、船は船尾を下に直立し、倒れてくる〝氷の堤防〟を甲板で受け止め、そのまま船体を元に戻した。重量オーバーなので(水は1立方メートルで1トンである)光圧も併用、すなわち氷の堤防に爆風を吹き付けて浮力を与えてこれを保持、川沿いに移動する。
「船長以下告知願います。Please never give up !. We perform all can do it so that you survive.(諦めないで。助けに行きます)」
 レムリアはテレパシーに〝光を見い出した〟旨を感じ取った。船長の声は車内に届いている。
「到着します」
 眼下、車の転落現場と見られる倒れた橋の上。
「総員、船体を反転させ氷塊を落下させる。船長におかれては不測の事態に注意」
 くるりと船体を上下反転させ、氷の堤防を流れの中に落とす。船内が応じて逆さまになるわけだが、同時に遠心力を発揮させて〝見かけ上の重力〟は維持させる。大スクリーンでは大地がぐるり1回転。
 地震のような地響きを伴って盛大な水しぶきが上がる。氷の堤防は落ちた際に割れたのだが、橋と引っかかった有象無象によって雑なダムにはなったようで、水流はそこでせき止められ、下流への流出は一気に減じた。
『ちっと雑で適当だったな』
『力任せの仕事は結果オーライ』
 双子の会話にレムリアは吹き出しそうになった。良くこの緊迫した状況で冗談めいたことが言えるものだ。余裕があるのか。ともあれ。

(つづく)

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