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2025年9月 3日 (水)

アルゴ・ムーンライト・プロジェクト -033-

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 天を向いた巨大画面に紙皿並べてサンドウィッチ。Sn3n0024

(CEATECにて。2011)

 後はめいめいティーバッグのコーヒーなり紅茶なりチョイス。〝船内食〟は基本的にこのレベルになるとか。全く異存はない。どころか〝ちゃんと食事に見える食事〟が用意できるだけ大したもの。
 船自体はやはり本来は宇宙船なのだとか。確かに、スクリーン方を向いている限り、映画の中の宇宙船そのものである。ただ、スクリーンに背を向けて立つと景色が異なる。
 この空間は操舵室と呼ばれる。後方は大学の講堂よろしくひな壇状に数段、コンソールが配置され、大人数の収納が可能な構造である。ただ、コンソールに機器はなく椅子もない。唯一、最上段中央にのみ、黒革張りの大きな椅子がある。
「私の居場所だ。目障りだから隅っこから見てろということさ」
 言ったのはアルフォンスス。つまり船長席。
「全情報がそこに集中し、あらゆる指揮管制が可能だ。操舵権を持つことも出来る」
 船長席後ろの壁にドアがあり、現在そこが開いている。その中に食料庫があるという。
 不思議なのはひな壇中腹である。右舷寄りにスペースがあり、観葉植物の鉢植えに囲まれた一角。深くリクライニングできる大きな椅子が配されている。
 「副長席です。テレパスは草木に囲まれて横になっていなさい」
 確かに、目を閉じて静かにしている方が、超感覚は鋭敏になる。
 セレネはここに横たわり、センサーを頭部に装着して、電気的に船のコンピュータと通信するのだという。そして危機にある命の悲鳴をキャッチすると、船がセレネの意識から悲鳴の座標を読み出し、船をそこへ振り向ける。つまり、電気的なテレパシー。称して
 Psychology-direct-reflection Synchronization Control-unit.
 心理同期制御とでも訳すか。略称PSC。
 尚、船の地球周回は基本的に空の極めて高い所を巡航し、地球一周約12分のペースである。この周回パトロール航行、及び、発見後の急行はPSCによる自動制御。現場に近づいた後は全員で対象者を探索し、シュレーターの舵に委ねる。
「それこそ星座絵のアルゴみたいに、でかい舵輪でも付けといた方が格好良かったかい?3次元コントロールだからゲーム機のレバーみたいにしたが」
 シュレーターがにやりと笑う。コンソールの中央に、それこそゲーム機のジョイスティックを思わせるスティックレバー。舵である。舵の左右には、飛行機のエンジンスロットルを思わせるバーハンドルが一本ずつ。スティックで上下左右を指示し、バーハンドルで速度を変える。ハンドルは左右どちらでも速度制御が可能。加速度指定と到達速度指定が選べ、同時に使うとアクロバット的な飛翔が出来るとか。

(つづく)

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