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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト -090-

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 そして。
 舷側のロープにもたれ、レムリアは星の世界を見上げた。
 地球の自転速度を遥かに上回る速度で航行するということ。
 応じた速度で星空が巡ること。
 シールドの光周波数を変更すれば、金色の光は無色に出来る。雲より上にあって人工光の影響は皆無となる。
 従って。
「うわ……」
 ちありちゃんが有様に気付いて絶句する。プラネタリウムの場面転換よろしく、冬の銀河を擁した星空が目に見えて天を巡る。白く煙る星の川がコーヒーのミルクのように大天蓋をたゆたい動く。
 自分が動いていると言うより、数多の光点を張り付けた天球が回るが如し。ガリレオの発想はなるほど驚天動地であったと妙に納得。
 更に。
「あれ?もう朝?」
「違うよ。沈んだはずの太陽を追いかけて追いついた」
 漆黒の夜空が下方より青みを取り戻し、束の間の夕焼けを作り出し、西から太陽が顔を出し、天高くへと昇って昼になる。
「魔法みたい」
 ちありちゃんが感想を述べると、着ていたパジャマが姿を変えた。
「あ、あれ?」
 パールシルバーのフリルが煌めくワンピース。
 レムリアが知る日本の女の子の服は、キモノか、変身して悪と戦うアニメのヒロイン。
 選んだのは後者。〝変身〟なら月明かりが必要だが、この程度なら手品の範疇。
「これ……ああ、『ヴァルキューレ』か」
「あなたの無事を孤児院のシスター達に見せてあげたいんだ。……で、そこの子ども達にその番組人気でね」
 レムリアはウィンクした。フランスを中心に、日本のアニメは知名度が高い。
「透過シールド作動」
 船は青空で姿を隠し、アムステルダムへ降下して行く。

19

 白昼、運河沿いのレンガ道は歩行者天国。
 楽器を片手のミュージシャン、ジャグリングで拍手を浴びるパフォーマー。

Amsterdam

(読者様ご提供)

 混じって歩いて行くのは、とんがり帽子にホウキをかついだ魔法少女と、変身アニメのコスプレ少女。
 高校(ギムナジウム)の生徒くらいとおぼしき男の子が声を掛けてくるが、レムリアは軽くあしらう。
「今のお兄さんはなんて?」
「彼女達カワイイね付き合わない?要するにガールハント」
「え?じゃぁ私たち今ナンパされたわけ?」
「その通り。まんざらじゃないってことでしょ」
 ウィンクして教えたら、ちありちゃんはくすぐったそうに身をよじって。
「コスプレにナンパ。秋葉原みたい」
「アキハバラ……」
 レムリアが思わずちありちゃんを見ると、ちありちゃんは驚いた様子。
「秋葉原知ってるの?」
「テレビで見たことあるよ。メイドさんがコンピュータの部品売ってるんでしょ?へぇ~こんな感じなんだ」
 レムリアの認識にちありちゃんは苦笑。
「ちょっと違うけど……まぁ詳しくは後で。最近は執事もいるんだよ」
「へえーっ!」
 公園を横切り、教会脇の孤児院へ。怪しい姿のはずだが、かえって溶け込む不思議。

(つづく)

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