【魔法少女レムリアシリーズ】虫愛づる姫と姫君 -10-
彼女は苦笑してさて困ったと思った。まぁ、森本教諭の話を合わせると、森宮のばらに対する男子の反応は概ねネガティブであろう。女子からも男子からもネガティブ。それは彼女も自覚していよう。だから防空識別圏を顕わにしたに相違ない。
そこへ自分が突入し話しかける?
「あぁやって虫や猫に話しかけてるとは聞いてたけど、見たのは初めて」
諏訪は言った。このルートで通っているのは皆知っており、応じて見たことあるか?と訊かれたことがあるという。
「あの子と友達になってあげてねって言われるタイプだよね」
諏訪はそう言い足し、これに彼女はギョッとして立ち止まった。
「相原さんどうしたの?」
「……ひょっとして諏訪君やられたことあるの?」
姫子は訊いた。だから、シンパシーを覚えたのでは、と思ったまで。
「ちょっと動くと発作起こすような奴が遊びに誘われると思う?友達になってやれって言われたっぽい奴が来たよ。でも何を話せって。ご趣味は?ってか?お見合いじゃあるまいし。でも、今は携帯ゲームが流行ったおかげでそっちで友達作れるけどね」
「俺、頼まれるタイプ」
平沢は自らを指さした。クラスではボケ役道化役を買って出ることが多い。
「何か面白いこと言ってやれって……そういう問題じゃねーんだけどなぁ」
どこも一緒かい。それは即ち、
「オトナって自分がコドモだった頃の、自分がされたら嫌なこと、全部忘れるんだよ。なんでか知らないけど」
姫子は言い、再び歩き出した。
「そういや相原さんのカレシさんってオトナだよね。コドモ扱いされる?」
諏訪が訊いてきた。ちょっと頬を染めて。
彼女ははにかんでくるりと2人へ振り返る。
「それはない。だって私、彼の姫様だから」
「くっそ盛大にノロケやがった!」
「いやヤバい。むずがゆくてヤバい。助けて利一郎キサマなんてコトを訊くんだ」
男二人立ち止まって体中が痒そうなアクション。自転車で行きすぎる小学生達がゲラゲラ笑う。
4
諏訪を住まいの7階建鉄筋アパートまで送り届けると、元来た道を平沢と共に丘まで戻る。この間に英語が不得手という彼に少しレクチャーをしている。
「過去分詞ねぇ……どうしてこうやって分類しちゃうんだろうね。日本語で話すのに文法とか気にしないでしょ?えーっとこれはもうテクニックの問題なので、簡単には例文を覚えて、彼が彼女だったりとか、そういう一部置き換えで問題文が出来てくる構成だから、あ、このパターンのアレンジだなってピンと来れば得点にはなると思うよ。何だろ、野球だってセオリーと応用ってあるでしょ。そういうのって理屈じゃくて練習してるとピンとくるようにパターンを覚えるじゃない。それと一緒……」
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