魔法の姫君とはんてんの騎士(アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部) -118-
その時。
『回遊プールになるほど、シャチ?クジラ?いるぞ。あまり動かないのは弱ってるのか?』
するとセレネが。
「レムリア。クジラと会話を。わたくしも反捕鯨活動の欺瞞は承知しているつもりです。その子はそのような怪しい輩の手にあるのですから、何かされている可能性があります。私との連携を切って状況を」
「はい」
レムリアの魔法は、魔女の意図を成就させるように働く、が基本線。それは人間以外の生物に対しては成就をアシストするように、あるいは、邪魔者(=敵)を妨害するように作用する。おおむね爬虫類・両生類あたりからこっちの〝脊椎動物〟には、テレパシー能力を介して命令に従わせ(と、レムリアは解釈している)、更に感情を有する哺乳類になると意思疎通を図ることができる。セレネはそれに基づいてここの海生哺乳類と会話せよと言っているのだ。
果たして最初に感じた意識は。クジラは人語を解するわけではないが会話形で記す。
〈苦しい〉
ナガスクジラである。船は管制塔のような建物頂部のガラス窓部分に横付けされ、レーザでガラスを切り取り、中の者達はホールドアップ。武器の火力差がありすぎる。最も、降参しているフリかも知れぬが。
〈どこが苦しいの?息が出来ないの?〉
〈お腹に……お腹に……〉
管制塔の方は大男3人が突入。中の者に片っ端から手錠を掛け、アルフォンススが〝そこで行われていた電気的な内容〟を機器に触れて読み取っている。なるほど電磁波を介して働くテレパシー状態だ。船長の解釈は船に送られ人工知能に読み込ませる(人工知能に食わせると表現する……相原の概念)。
比してレムリアのテレパシーはとんでもない内容を拾った。
「クジラの子宮に何か埋め込んでいます」
『船内。クジラの身体に何か通信機器のようなものがへばりついてないか探せ。この部屋の機器から何らか電磁波が出ている。イベントディテクタで拾えるはずだ』
アルフォンススが指示する。イベントディテクタ(Event Detector)……簡単に言うと〝何かあったら〟拾い上げて通知する回路を言うが。
「相原さん。これは?」
レムリアの画面に何か出た。電気信号と思しき波形なのは判るが、内容が理解できない。表示された画面をそのまま右側へスライドする(画面上でウィンドウをタッチしたまま投げるように動かす)と、他のメンバーの画面に割り込んで表示される。
「一定の周波数で側帯波がある。送信受信の機能があると思われる。レムリア……クジラに何か喋ってもらうことは出来るか?」
「クジラ自身の声でってこと?」
「そう。低い声で」
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