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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト -095-

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「ちょっと、ちありちゃんの様子を見てきました」
 レムリアはまずは報告した。
「直接?」
「ええ。この船で空を飛んで。あなたのことをとても気に掛けていました。日本国内では私たちがあなたを攫ってしまったので行方不明と報道されています」
「そうか。元気ならいいや。彼女の方も、自分に変なことをされたとか、学校で言われたりしてないかと気になってね」
 相原学は携帯電話を見ながら言った。
 レムリアは後頭部を雷で打たれたような衝撃を受けた。一番酷い目に遭っているのはあなた自身なのでは?
 それよりちありちゃんを心配しているの?それも失恋ショックと低体温の影響?
「おおどうしたそんな顔して。何か悲しいことがあったか」
「あなたは……自分で自分の心配はしないの?その……私のせいで酷い目に遭ったというのに……」
 悲しい結果と自責の念で涙が抑えきれない。
「君のせい?なんで?頼まれた通り彼女を家に帰した。彼女とご両親に喜ばれ信じてくださっている。なら、いいじゃんか。ミッションコンプリート」
「そんな……」
 レムリアは思わず彼にしがみついて泣いてしまった。
「私が……頼んだりしなければ……あなたは失うことも、疑われることも、追われることもなかったのに……ごめんなさい……」
 相原学はレムリアの後頭部を軽く、ぽん、ぽんとした。ゴツゴツと骨張った、大きな、そして熱い掌。
 両の手を取られる。
「君の手は温かいね」
 相原はまずそう言った。
「幾ら否定しても思い込んでる相手には通じないんだよ。でも、逆に言えばうわべだけで判断してるに過ぎないってことだろ?そんなもん、放っておきゃいいじゃんか。それよりとんでもない高速船ととんでもない人たちに出会えてエキサイティングだよ。奇跡を起こして世界中で人助け、とんでもねぇじゃんか。勝手に犯罪者扱いしてつけ回すとレベルが違ぇ。レムリア、だっけ?笑顔の方が似合うと思うよ君は。んなこと言ってるとやっぱりロリコンって言われそうだけどさ」
 相原学は声に出さず身体の振動だけで笑った。
 逆に自分が慰められている。
「ごめんなさい。逆に心配させてしまいました」
 レムリアはベッドから降りて立ち上がり、彼を見た。
「そんなことはない。君の優しさは染みたよ。それより世話になったね。もう大丈夫だと思うぜ。で、当然この船は極秘なんだろ。動力と武装を公然にしたら米ロが黙っちゃいない。オレの記憶消しちゃう?」
 相原学は自身の頭を指さした。
「いいえ。ちありちゃんにもそんなことはしていません」
「判った。消されると彼女やご家族と船の話が出来なくなるからね。最も女の子同士の方がいいような気もするが」
 それを聞いてレムリアはフッと笑った。

(つづく)

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