魔法の姫君とはんてんの騎士(アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部) -109-
相原の言にアリスタルコスはニヤリと笑い。
「警戒しすぎの気もするがな。人為的でないって証拠もないわな」
銃の安全装置を外す。なお銃の照準装置はゴーグル内の視線センサと連動しており、内部のジンバル(姿勢安定の仕組み)を制御して銃撃をサポートする。但し、これら銃器は〝救助の障害物の除去〟が目的であり、標的が人間と判断するとトリガーが掛からない。
相原が持っているのはプラズマ銃のようだ。その先端に何やらアタッチメントを嵌めている。プラズマ銃は要は火の玉を撃ち出すものだが、その際生じる急激な空気の膨張を使って色々打ち出す事が可能とか書いてあったのを思い出した。
相原はアタッチメント先端に短剣のようなものを差し込んだ。
「それって雪山登山でロープを結ぶ……」
「そう。ハーケン。高温でガス圧を上げて打ち込む」
クレバスの壁面すぐ脇で銃口を氷床に突き立て、出力を上げて発砲。プラズマ銃では弾丸(プロジェクタイル)のアルミが溶けて火の玉になって飛び出して行くが、出力を上げてあるのでアルミは一気に蒸発してしまう。蒸発するので飛び出して行かない代わりに、高温高圧の空気の塊が押し出される。
得られる結果は一般的な火薬推進弾丸と同一である。結構鋭いパンという破裂音が氷原に轟き、ハーケンは水しぶきを上げて氷床に突き立った。なお、船外活動を行う場合、イヤホンはカチューシャと連結して両耳装着とし、確実な通信を確保すると共に、大音響の遮断・ノイズキャンセルを行って聴力を守る。
ハーケンを2本打ち、縄梯子を引っ掛けて割れ目に垂らす。
覗き込むと氷床は青く、まるでこれから巨大なサファイヤの中に入り込むよう。
下の方で動くライト。
「中は空間で川だ」
ラングレヌスの声。ただ、その声は届くが偉躯は視認できない。
声の反響から感じるに相当深い。全面氷なので真っ暗まで行かないが、透明でもないので、底の方は行動に難渋する暗さ。
相原が再びランチャーに何か仕込んで氷の壁めがけて打ち込んだ。
白色発光ダイオードの冷めた光が空間に光を届ける。使い捨ての照明ハーケンである。
何本か打ち込んだら、氷のブルーもあろう、歌番組のステージのようだ。
そして、照らされたのは氷片がうずたかく積もった山と、その中に人工物の影。なお、ラングレヌスはこれを見逃したか無視したか。いや、もっと興味を引く何かが奥にある?
「レムリアテレパス。生死は」
相原が言う。船長の流儀。
「何も感じません。……良くて仮死状態かと」
「逆に生きてる可能性はあるな」
「ええもちろん」
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