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魔法の姫君とはんてんの騎士(アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部) -101-

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 その黒い部分。実は空から暴風と共に降りて来た帆船があり、舷側、スライドドアが開いたのである。それ以外はそこに何かあるようには見えない。クローキング(cloaking・光学迷彩)である。
 ドアから女の子が出てくる。白いTシャツにショートパンツ。髪の毛も肩に触れないほどのショートカットで小麦色の肌が活発さを物語る。
 衛星携帯の女の子、レムリアである。彼女は相原学の姿を見るや小さく吹き出した。相原学は風よけであろう、半纏の背を船へ向けてしゃがんで丸くなっているのであり、それは彼女に図書館の絵本だったと思うが、日本の妖怪〝ゆきわらし〟を思い出させた。
「もう大丈夫ですよ。相原さん」
 レムリアは言い、相原が立ち上がって振り返るのを待った。
 彼は高校時代のねずみ色体操ジャージにはんてんというスタイル。自分のことを呆然と見ている。外見に関して照れるような認識を彼は抱いている。メガネ越しの瞳に映る自分の姿。
「こりゃ、見ちゃうわ。ごめん」

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 照れる相原にレムリアは笑った。が、まだ人目のある時間帯に空飛ぶ船なんか置いておくわけにも行かぬ。その光学迷彩システムを透過シールドと呼んでいるが、それによって見えないとは言え、そのシールドの維持に燃料を消費する。無駄は控えたい。
「乗ってください。船長、相原さん乗船します」
 レムリアは日本語のまま言った。主制御コンピュータは人工知能だが、彼をメンバーに加えたこともあり、日本語を覚えさせ、仲介(同時通訳)する機能を持たせた。
 スロープを歩いて乗り込み、左舷通路を操舵室まで案内。相原学は子細見過ごすのが勿体ないとばかりぐるぐるキョロキョロ見て歩く。
「すげー。CNTシーエヌティで100万G耐えるんかい。継ぎ目ないじゃんか。プリンタ出力か」
 操舵室の大きな扉。映画に出てくる大銀行の大金庫である。日本的表現で観音開きという両側が開くタイプ。
「レムリアです。相原さんをお連れしました」
 ドア脇のインターホンへ告げると。
 ドーン、と大きく重い物が動く音がし、余韻を引く。それはこの大きな扉のロックが解錠される音。
「おおすげえパワー」
 相原学は音だけで使われるエネルギの大きさが判るらしい。そして大きな扉は開き、白銀の照明で明るくされた大きな空間と、
〝作戦席〟と称するテーブル然として配置された大きな液晶画面の周りに立って並ぶプロジェクトメンバーが彼を迎える。
「先にこれを」
 レムリアは自分たちのと同じイヤホンマイクを彼に渡し、自分の耳の穴をこう、と見せた。相原学はそれを同様に押し込んだ。短いアームを耳介に引っ掛け、イヤホン本体を耳に、マイク部分を頬に触れるか触れないか。

(つづく)

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