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魔法の姫君とはんてんの騎士(アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部) -102-

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 レムリアは船長に頷いた。 
「改めて、アルゴ・ムーンライト・プロジェクトへようこそ。相原学殿。私が本船の船長、コールサイン〝アルフォンスス〟だ」
 黒檀の肌を持つ身長2メートル筋骨隆々、アルフォンススは大きな手を相原学に伸ばした。もちろん、船長の声は翻訳されて相原のイヤホンに聞こえる。
「ハイハイとばかりに入り込んでいますがいいんですかね。僕には何の秀でたモノもありませんけど」
 相原学はアルフォンススの手を握り返した。
 軍服を着た屈強な大男と、比べると170センチにやや足りないというところか、〝のほほん〟という感じのジャージにはんてん眼鏡の青年。およそ真逆の立ち位置と言えるだろう、そんな2人が手を結んでいる。何か、象徴的なものを感じる。
「記憶を消す方が面倒だ。それに、君は常に誰かのために、どうすべきか、考えてくれる、とレムリアから助言された。ならむしろ、我々の力とこの船と、誰が何をすべきか、客観的に最適な手段を導き出してくれそうな気がしてな」
「買いかぶりすぎです。ただ、コンセプトは買うので、可能な限りを」
「ありがとう。レムリア次だ」
「はい」
 イヤホンマイクに続いて渡すもの。IDカード。発行番号7番。Acting captain。パスケースに入れて紐でぶら下げ。
「メンバーカードだ。君はマニュアルを全て把握しているだろう。我々が何をしてきたか聞かされて概要を掴んでいるだろう。そしてこれは私の勘だが、機械を触れば操作や挙動が何となく判るタイプと見た。ならば、代理船長の権限を与えたい」
「僕がですか」
 自分を指さして目を丸くする。彼は突如目の前に降りて来た空飛ぶ船に驚かなかった、のであるが、いきなり船長権限には驚いたようだ。
「でも……」
 相原学は男達を見回した。前からの乗組員を差し置いて船長は気が引ける。まぁ、当然の反応。
「我々は構わん」
「むしろ全容を把握して指示出す方が面倒だ。動く船長と動かぬ船長と2人いてもいいんじゃないか?」
「一人増えればもう一人は銃を持って動ける」
 男達はそれぞれニヤニヤ笑った。
 相原学はフッ、と笑った。
「判りました。自分の可能な限りを。こういうの嫌いじゃないっす」
 IDを首から下げてジャージの下へ。
「では早速習熟だ。船長席へ入ってくれ。君の思うままに情報を集約して指示を出してみてくれ、異論があれば口を挟む」
「判りました。が、で、その、緊急事態というのは?」
「大きな悲しみを感知したのです」

(つづく)

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