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魔法の姫君とはんてんの騎士(アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部) -126-

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 偽名で表記する。ブラックウォー島。南半球とだけしておく。10キロほど離れた海洋上にアルゴ号は普通の船然として浮いて停船している。
「こことつながっていますと」
 正面スクリーンの画像を見て相原が言った。
「ここには伝染病の国際共同研究所が……」
 レムリアは言いかけ、鯨プールと同じだと判断した。この島の名であるブラックは肌の色から来ている。植民地政策で虐殺、もっと言うと、列強富裕層向けに〝人間狩り〟が営業されていた。その〝罪滅ぼし〟がこの研究所なのだが……白亜の国にとっては疑われない隠れ蓑ということになる。
 アルフォンススが画面上に何か図を出す。四角形で囲まれた人名か組織名と思しきものが相互に線で結ばれている。船に作成を命じたという相関図、か。
「レムリア、人類が犯した人種差別的な政策二つ、思いつくものは?」
 アルフォンススの口調が厳しい。
「ホロコースト、アパルトヘイト」
 答えると、アルフォンススは頷いた。
 レムリアは目を見開いた。特定の人種至上主義・原理主義は21世紀をして人目を避けつつ存在し続けているのは知っている。
 それらが素性を隠し、地下に潜って最新の軍事技術を獲得していたら?しかも。
「ネオナチと白人優越主義がつながっている、ということ?」
「だけではない。パレスチナやゴラン高原へ行ったことは?」
「あります……ということは、それらと中東の反イスラエルが結束ですか……」
 その地の非国家主体の名が相関図にあり、アルフォンススがポインターで示す。そこから、白亜の国に資金が流れている。その見返りこそは、反米・反イスラエル・反キリストを掲げて割拠する各非国家主体が、喉から手が出るほど欲しいもの。
「プルトニウム」
「そうだ。ただ、それは表面に過ぎない。こっちは得た資金でクジラを音波制御の自爆テロ犯に仕立てて、何がしたいか?白人優越は狂信的なキリスト教原理主義と結びついて世界中にいて、旧植民地主義国、合衆国やロシアもだ。政権中枢に食い込んで、国際輸出管理レジームの枠を超えて喜んで横流しする」
「船長言いたいこと言ってくれるじゃねぇか」
 困惑しているアングロサクソン……金髪碧眼の双子。
「ロシアの船に欧州の迎撃システム乗せて合衆国のガンシップ運用しているのだが?」
「ああ、はい。言い返す言葉はねぇよ」
「レムリア。君に尋ねたのは他でもない。こういう背景があることを認識してもらいたかったのと、先日の日本の女の子は何かあったら本船で救助に行ける状態になっているか?」
「ええ。はい。連絡先は相原さんの携帯に残していますし、本船に関する記憶もそのまま残して……何か関係があると?」
 レムリアは胴震いした。こんな世界規模の人種差別組織に、自分より歳下の女の子がマークされる?

(つづく)

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