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【魔法少女レムリアシリーズ】虫愛づる姫と姫君 -18-

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 と、意識に飛び込んでくるイメージ。子供達が集団で必死に走っている。何かから逃れようとして。
 林立している機器の一つが赤ランプを点滅させ、チャイムを鳴らした。
「Yes, this is Lemuria in the emergency room.」
 以下森宮のばらに通訳を要す内容については日本語で記す。
「子供達のパニックを感知した。救命ユニットは使っているか?」
 今日の乗組員はレムリアが突発で呼び出したこともあり、先のアリスタルコスと、操舵手でこの船の設計者であるドクター・シュレーター。野郎二人。船長権限がないと起動できないはずだが、まぁ、どうにかしたのだろう。
「彼女なら元気になりました。パニックの概況を教えてください」
 答えながら、ウェストポーチをゴソゴソし、ワイヤレスイヤホン近似の機械を耳に押し込む。この船の乗組員なら誰もが持つ通信セット、兼、一部船体の制御も可能。略称PSC。
「山道で多くの子どもたちが逃げ惑っているようだ。赤外線センサの反応だから詳細は不明。複数追われており相手は暴漢や熊のようなものでは無いようだ。日本、山梨県」
「日本?」
 2人は顔を見合わせた。
「センサの反応に現地画像を重ねて送ってもらえますか?」
 そして。
 レムリアはテレパシー能力をフル感度で働かせる。オーラライトが出て髪の毛が持ち上がるので、感づく人にはバレてしまうが仕方がない。
 画像は遠すぎてよく判らないが、激しく動き回る人と思しき点がいくつか、その点から激しい心拍を観測、というもの。
 そこからテレパシーが拾った意思は。
 -痛い。痛い!
 -そっち行ったぞ。
 -クソ!どれだけいるんだ!
 大人の女性、女の子、男の子。子供達は未就学から中学生程度まで年齢様々。頭を抱えて逃げ惑い、しゃがみ込み。
「ハチだ!」
 レムリアは声を上げた。
「現地に降下して下さい。どうやらハチの集団に襲われてる様子。行って対応する要あり。……のばらちゃん。子供達がハチに襲われてる。手伝ってもらえる?」
 森宮のばらに何の逡巡もなかった。
「もちろん」

6

 液晶画面には大声をあげて逃げ惑う子供達が映し出された。畑の多い集落の末端部で、ハイキングコースであろうか細い山道から降りてきた所、と見られる。路線バスの転回場らしく、少し広くコンクリートで舗装され、傍に待合所と思しき木製の小屋。
 その周りを子供達が悲鳴を上げながら右へ左へ。数名、大人の女性の姿が見え、頭を押さえ、追い払うように手を振り、その一方で子供達に逃げるよう促すような仕草。頭を抑えているのはそこを刺されたと見る。

(つづく)

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