【予告】激烈・レムリア推しを始めます
「虫愛ずる」は2月いっぱいで完結。でもって、3月1日から、25年GW以降怒濤の勢いで書かせてくれた彼女の話を順次、毎日、更新します。ボケ倒しながら成長して行く魔法娘の姿をお楽しみ下さいませ。
2026/3/1スタート
魔法少女レムリアシリーズ「トワイライトマジシャンガール」(毎日昼12時更新)

これは以前に茶坊主さんに描いてもらったラフをチャッピーに「高解像度化」してもらったもの。エエ時代になったわ。
「虫愛ずる」は2月いっぱいで完結。でもって、3月1日から、25年GW以降怒濤の勢いで書かせてくれた彼女の話を順次、毎日、更新します。ボケ倒しながら成長して行く魔法娘の姿をお楽しみ下さいませ。
2026/3/1スタート
魔法少女レムリアシリーズ「トワイライトマジシャンガール」(毎日昼12時更新)

これは以前に茶坊主さんに描いてもらったラフをチャッピーに「高解像度化」してもらったもの。エエ時代になったわ。
すると森本が溜息交じりに電話機のボタンを押して保留を解除した。
「あー……もしもし、お待たせしました。確かに、森宮のばらと、もう一人、我が校の生徒のようです。え?お礼……」
地獄耳に物を言わすと、施設長が生徒手帳を届けると共に、子供達を守った二人に礼を言いに訪れたい。そして今度は二人を招いて現地の子供達に是非お礼をさせたい。
と、電話の向こうがちょっと騒がしい。森宮さんともう一人シャベルの女の子ですよね、代わっていただいていいですか……。
電話機奪い取るような音。
『もしもし、もしもし、昨日の刺されて応急処置受けた者です。穴山と申します。やはりそうですよね。昨日は本当にありがとうございました。お陰様で命拾いしました。そんな時間にそんな場所に東京の生徒が来ているもんかって。でも私見ましたから、水晶の髪留めと、もうお一方は足が早くていらっしゃる。どうぞ、“クエーサー&ブレーザー”のお二人に、うちの子たちからお礼をさせて下さい、虫取りの腕前見せて上げて下さい』
穴山、さんはちょっと興奮気味か、声が大きく全部聞こえた。果たして森宮のばらはその水晶の髪ゴムを身につけているのであり。
もう一方の俊足ぶりは知られた話。
すると、校長が、森本から電話機を手にした。
「校長の笹塚と申します。放課後から夕刻までに本校から50キロ離れた貴校近傍にどう行って帰ったか皆目ですが、当該の二人であることは間違いないようです。遠いところではごさいますが、ご訪問ということでございましたら、はい、お待ち申し上げておりますので、ええ、是非に。はい。はい、それでは……いえいえこちらこそ確認に時間を要して長電話になってしまいまして。では午後ですね。お待ち申しております……失礼します」
校長は、電話を、切った。
ふうとため息をし、女子二人に目を向ける。なお、姫子は校長と過去話したことがあり、畏まるようなことはない。両の手を前で合わせてモデル立ち。この位の小細工は知ってる。
「本来は勝手に生徒だけで他県へ行ったこと、生徒手帳を落としたこと、問いただすべきなのだが、現地でスズメバチに襲われた施設の生徒さん達を助けたそうだね。お礼がてら生徒手帳を届けに来て下さると仰る。施設長の方は当市内の校長を歴任された後、私財で法人を設立され、子供達の独立支援に身を投じてらっしゃるところだ。そこで君らを叱り飛ばす訳にもいかんな」
彼女姫子はニヤッと笑った。やるじゃん校長先生。
「すいませんトラブルメーカーで」
「なに、本校にとって名誉なことだ。ところで、クエーサーブレーザーって何かね?そんな天体を習った気がするが」
姫子はホレホレとのばらを立たせ、互いの背中を合わせた。
「クエーサー・ボレアリスとブレーザー・メリディオナリス。星の冠悪を許さず。そこまでだ!チェックメイト!ですよ」
「それは何かね?」
「という、決め台詞のあるアニメのタイトルです。私たちがそんな風に見えたのでしょう。だったら、その思いに応えるまでです」
森宮のばらが、その施設の一員になるのは、その2週間後のこと。
虫愛づる姫と姫君/終
8
翌朝。
彼女姫子は迎えに行こうかと提案したのであるが、平沢進が「オレが責任持って」と言ったので任せた。「姫ちゃんいつも溝口さんと一緒に登校だろう?」それはそう。溝口智恵美は繊細な女の子だ。ただ、男女が揃って登校するのは憶測を呼んで厄介な事態になりがちなので少し気にした次第。「子供食堂の日はいろんな学年が一斉に学校に向かうから誰も気にしない」ならいいか。
さて教室に到着すると平沢進はバッグだけ机に置いてある。そういえば朝の会(始業時ホームルームのこと)まで校庭をランニングと聞いた。そしてそれは森宮のばらも登校済みを意味しよう。
と、思ったら。
「ああ、相原さん来てた」
朝の会にはまだ時間があるが、担任奈良井が教室に来た。
「はい」
何かありました?という質問を飲み込む。訊くだけ無駄。あったに決まってる。他にあるかい。
手招きされるのでカバンを置いて教室を出る。背後から憶測のヒソヒソ話。
「あなた、山梨の……」
奈良井は先立って早足で歩きながら、児童養護施設の名を口にした。様々な事情で親と暮らせない子供達が自立できるまで共同生活。
「行った?その、森宮さんと」
姫子は、だいたい、状況を、察した。
山梨のあの子たちと引率らしい女性は、施設の子であり職員なのだ。船に収容したあと、子供達が怖がってその場に居たくないというので、ハチに刺された職員さんに応急処置だけして、そのまま飛んで行って施設の駐車場に直送している。それは空飛ぶ船に助けられたという絵本のワンシーンのような結果なのだが、一期一会と思い催眠術で記憶を誤魔化すような真似はしないでおいた。奇蹟の船なんだし奇蹟でいい。
で、まあ、森宮のばらの生徒手帳はそこに拾われた、ということだろう。
果たして職員室に入ると困惑顔の森本があり、どころか小柄で頭髪の薄くなった校長に白髪頭の教頭まで顔を揃え、林立する男らに囲まれて森宮のばらが恐縮して座っている。
「姫ちゃん……ごめん」
森宮のばらがありのまま喋ったとして頓狂なことであろう。
「その……相原さん、どういうことなんだね」
電話の受話器を片手の森本。ねじねじケーブルで繋がった本体は〝保留中〟の赤ランプが点滅している。
「施設の子供達がハイキング中かな。ハチに襲われて困ってらしたので」
ありのまま答える。森宮のばらの物言いと食い違うこと言うわけにも行かぬ。
「体調不良と聞いたのだが。山梨?全く判らないんだよ」
「先生もご存知の通り、普通に病院行くのは大変な状況なので、空中移動式の救命救急船に便乗しただけです。地震の時私が乗せてもらった奴ですよ」
自分が地震(東北地方太平洋沖地震)の際、お別れ遠足抜け出して救助に参加していたのは教諭陣あまねく知るところ。どうやってとあまりにしつこいので救命飛行船とちょっとだけバラした。
「元いたボランティア団体の所有物なので融通が利きます」
呼んだら1分で欧州から飛んできたことはさておき。
(後編)
一面の大草原。風が吹き、遠く古代ギリシャ様式の神殿が見えます。
「こ……あれ、喋れる」
但し、喋れるというのは霊的な意思疎通そのもので、それがここでは標準であるから。すなわち。
「ここは」
「フェアリーランド。君のいた地上世界と天国の間。君の身の振り方についてガイア様に相談するから一緒においで」
その神殿までひとっ飛び。受付の前に降り立つと、中から同じく妖精のミレイさんが目をまん丸にして身を乗り出してきました。
「あらディケちゃんどしたのその子」
私の名前はエウリディケなのでディケちゃんです。1000年生きててちゃん付け……まぁ、いいんですけど。
事情の説明はテレパス一瞬。
「で、故郷に返していいのかしらと」
「その前に自分でエサ取れるの?その子」
「どうしてたの?」
言葉のリレーで訊くと。
「え?もらうもんじゃないの?」
これではいきなり野生に戻せません。
「ガイア様に取り次ぎを……」
「おられる。見えてらっしゃる。どうぞ謁見室へ」
「判りました」
ガイア様。言わずと知れた大地の女神、地球の精霊。私たち妖精の使命は人間以外の生命の相談役、です。命に直接関わるので、その姿勢や意識はガイア様の意に沿うものでなくてはなりません。なので迷ったら相談なさいが鉄則。複雑な王宮通路をヘビと共に歩いて行くと、すれ違うみんながみんな振り向かずに居られないようで。
「不自然な命だね」
悪口を言う方も。
「まぁ、この子のせいじゃないので」
「だから人間とは関わりたくない」
気持ちは判るけどこの子に聞かせることじゃないでしょ。
「あの……」
「気にしなさんな」
謁見室。拝跪して待っていると光が室内に満ちます。
「状況は見ておりました。その子をどうすればいいでしょう。ということですね」
光がそう振動してそう聞こえます。
「はい。場合により私の手に有っても良いかと」
有り体に言えば〝飼う〟ということです。生き餌の食べ方を教える必要があり、それは〝餌になる〟側の相談役でもある身として心苦しいのですが。
「元々住んでいたアフリカの森林に戻すのは難しいのですね?」
「待っていれば口先に運んでもらえる環境でしたので、自分で探して見つける、餌となる生き物自体の区別そのものも困難かと」
「なるほど。ではそのように彼を迎えてくれる所を探すのが適切ではないでしょうか。神の使いとして迎え、もてなす所はあるかと思います」
示唆を頂きます。そのアフリカに暮らす人々、宗教上の理由から白いヘビを神聖視する先進国の人々。
流れてきた悲しみがあります。飼っていた白いヘビが死んでしまったという病院。アスクレピオスの話を全部書くわけに行きませんが、ヘビは医学と救命活動のシンボルです。
「ここ、行きたい」
言ったのは他ならぬ白蛇当人(人?)。
「何か感じた?」
「頼られるんじゃなく、必要とされてる。そんな気がする」
「そう」
「良いのではないですか?わたくしに異論はありません」
「はい、では」
山奥の小さな病院に、白いヘビが迷い込んだ話が新聞の片隅に載るのは、それから数日後の話。
異形、異郷にて/終
森宮のばらの足元に首の後ろを擦り付け、尻尾で触れる。
「オレも友達だぞ忘れるなって」
「うん……そうだね……そうだね……」
森宮のばらはしゃがんで涙ぐむ。ただそれは悲しい涙ではなく。ヒロスが顔を擦り寄せる。
「さ、行こう。ご飯作ってもらってるし……ヒロス、のばらちゃんならウチらに任せな」
姫子は言い、のばらに手を伸ばした。
「うん」
姫子らの自宅がある隣の(バスが通る方より造成は古い)住宅街に入る。自分の家を通り過ぎて住宅街を西端まで横切ると、末端崖上にある平沢宅に達する。彼宅庭先から歩行者しか通れない細道があり、コンクリート擁壁に沿って、墓地へ寺へと降りて行ける。墓地の向こう、トワイライトスクールに使っているプレハブに明かりが灯っており、片隅の厨房からは湯気が上がっている。この建屋は基本食事と一時預かりで、お泊まりは元宿坊を使っているという。
「これも私のために……本当に申し訳ない……」
「カレーだ」
平沢進が鼻の穴を動かして言った。なお本人は森宮のばらを笑わせようとゴリラの真似をしたのであるが、当の森宮のばらは見ていなかったようだ。
「おーい、進君、姫ちゃん」
プレハブの窓が開いてこちらに手を振る。副住職の奥さんである。
「すいません遅くなりました」
「大丈夫よ~二人も一緒に食べてって。おうちの方には連絡しといたから」
「はーい」
「ありがとうございます~」
平沢宅に自転車を置かせてもらい、荷物を分担して輸送。一通り挨拶を済ませ、平沢進は食事の手伝いへ。二人は台車(荷物カート)を借りると、買い物をドサドサ載せて本堂を通り、阿弥陀様に一礼。元宿坊へ移動し準備。襖を開くと板張りに改装され、二段ベッドが2セット入った6畳間。これが2部屋あって、計8人が寄宿生活できる。森宮のばらがクローゼットに衣類を展開、その間に姫子が倉庫から寝具を持ち込む。
「二段ベッド使い放題。上?下?」
「どうせなら上」
「落ちないでね」
済んだところで森宮のばらをベッド下段に座らせ、アパートのコンクリ床に座り込む等で出来たのであろう、昼以降の新しい傷跡に処置して行く。オキシドールを吹くと泡が沸き、脱脂綿で拭って絆創膏を貼り、昼に貼って剥がれたり汚れたりした奴も貼り替える。
足音があり副住職の奥様。
「終わった?ご飯できたよ」
「はい」
トワイライトの遊戯室は折りたたみのテーブルとパイプ椅子を並べて食堂に変身。既にカレーライスが盛り付け済み。
「約一名量が違うように思いますが……」
カレー皿が二つに対し、大きなラーメン丼がひとつ。
「オレカレー丼にしてもらった。いただきま~す」
平沢進がとぼけ顔。
「おばさまズルくないですか?これ」
姫子が口を尖らせて副住職の奥様に訴えると。
「いいのよ。進君にはいつも手伝ってもらってるから」
森宮のばらが口を開けてあははと笑っている。
終わったようで小走りで追いついてくる。上り坂に不適切な体格なのでしんどそうだ。
「歩くの早いな……君たちは今日どこへ行ったのかね。彼に訊いても女の子同士だし放っておいた知らねえとしか言わないし」
「いえ別に、こう、ぐるーっと」
姫子は答えた。これに吹き出したのが森宮のばら。
「ええ、はい。この辺を、ぐるっと」
二人がこの辺と指差したのは地面。
別にウソは言ってない。森本は眉根を寄せて。
「それは……どこかへ出かけたという意味ではないってことかね」
「繁華街やゲームセンター辺りを想像されてますか?こう、野山を徘徊するから傷だらけになるわけでして」
二人は手足や顔の傷なり絆創膏をこれ見よがしに見せた。
「なるほど……」
概ね事態の想像がついているであろう平沢が笑いを噛み殺している。
坂の上はバスの終点折り返し場で、ここから住宅街が広がる。バス通りは緩くカーブして信号のある交差点に至り、スーパーと〝しまむら〟が向かい合う。
「先生は学校戻って書類を作る。こちらからも光龍寺さんにはお願いしたから万全だろう。で……買い物か?先生結局何も出来なかったから、ほれ」
と、財布を緩めた森本から一万円札をもらう。
森本と別れ、スーパーと、その〝しまむら〟で「女の子」が暮らして行くモノ最小限買い揃える。ただ、それでも不足が出たので姫子がクレジットカードで切った。
自転車に戻ると、二人とも両手に買い物ビニール目一杯という有様に平沢進が目を丸くした。
「女の子って物いりなんだな」
段ボールの空いてる部分に可能な限り押し込んで、更にその上にも積み上げてゴム紐を巻き付ける。前かごに積んで、ハンドルにぶら下げて。最早、自転車は荷車。遊歩道を手で押して歩いて行く。
「3日分のシャツとパンツをぐるぐる使えば事足りる殿方と違いましてデリケートですのよ」
姫子は言った。それは夫候補が長期出張に向かう際に聞いた台詞。まぁ、似たような予想から渡された森本資金で不足は宜なるかな。
聞いた森宮のばらがクスッと笑った。そしてハッとしたように目を伏せた。
「ごめんなさい私ったら……お金使わせてしまって……なのに……」
「それを気にするなら、いつか、あなたが、誰か困った人を助けてあげればいい話です。それより笑ってくれたの嬉しいよ。楽しいと思ってくれなきゃ友達である意味ないし」
森宮のばらは立ち止まり、歩いていた姫子と平沢は気付いて止まって振り向いた。
「どしたの?」
「いいの?本当に」
「何が?」
「友達……って、あ」
にゃぁと駆け寄る黒ネコ。ヒロスである。
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