【魔法少女レムリアシリーズ】虫愛づる姫と姫君 -27-
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終わったようで小走りで追いついてくる。上り坂に不適切な体格なのでしんどそうだ。
「歩くの早いな……君たちは今日どこへ行ったのかね。彼に訊いても女の子同士だし放っておいた知らねえとしか言わないし」
「いえ別に、こう、ぐるーっと」
姫子は答えた。これに吹き出したのが森宮のばら。
「ええ、はい。この辺を、ぐるっと」
二人がこの辺と指差したのは地面。
別にウソは言ってない。森本は眉根を寄せて。
「それは……どこかへ出かけたという意味ではないってことかね」
「繁華街やゲームセンター辺りを想像されてますか?こう、野山を徘徊するから傷だらけになるわけでして」
二人は手足や顔の傷なり絆創膏をこれ見よがしに見せた。
「なるほど……」
概ね事態の想像がついているであろう平沢が笑いを噛み殺している。
坂の上はバスの終点折り返し場で、ここから住宅街が広がる。バス通りは緩くカーブして信号のある交差点に至り、スーパーと〝しまむら〟が向かい合う。
「先生は学校戻って書類を作る。こちらからも光龍寺さんにはお願いしたから万全だろう。で……買い物か?先生結局何も出来なかったから、ほれ」
と、財布を緩めた森本から一万円札をもらう。
森本と別れ、スーパーと、その〝しまむら〟で「女の子」が暮らして行くモノ最小限買い揃える。ただ、それでも不足が出たので姫子がクレジットカードで切った。
自転車に戻ると、二人とも両手に買い物ビニール目一杯という有様に平沢進が目を丸くした。
「女の子って物いりなんだな」
段ボールの空いてる部分に可能な限り押し込んで、更にその上にも積み上げてゴム紐を巻き付ける。前かごに積んで、ハンドルにぶら下げて。最早、自転車は荷車。遊歩道を手で押して歩いて行く。
「3日分のシャツとパンツをぐるぐる使えば事足りる殿方と違いましてデリケートですのよ」
姫子は言った。それは夫候補が長期出張に向かう際に聞いた台詞。まぁ、似たような予想から渡された森本資金で不足は宜なるかな。
聞いた森宮のばらがクスッと笑った。そしてハッとしたように目を伏せた。
「ごめんなさい私ったら……お金使わせてしまって……なのに……」
「それを気にするなら、いつか、あなたが、誰か困った人を助けてあげればいい話です。それより笑ってくれたの嬉しいよ。楽しいと思ってくれなきゃ友達である意味ないし」
森宮のばらは立ち止まり、歩いていた姫子と平沢は気付いて止まって振り向いた。
「どしたの?」
「いいの?本当に」
「何が?」
「友達……って、あ」
にゃぁと駆け寄る黒ネコ。ヒロスである。
(つづく)


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